初代サイレントヒルの世界観や物語を再構築した作品。敵への対抗手段が逃走以外にない。
作品・繋がり
サイレントヒル シャッタードメモリーズ
サイレントヒル ブック オブ メモリーズ
ストーリー
ドクターKはその日、オフィスに新たな患者を迎えていた。
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ハリーが運転する車が雪でスリップし、フェンスに激突。ハリーは車から這い出たところで意識を失ってしまう。
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ドクターKはいくつかの質問を与え、患者は質問に答えていく。すると、ドクターKはカウンセリングを開始する。
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ハリーが意識を取り戻すと、後部座席にいたはずの娘シェリルの姿が消えていた。ハリーはシェリルを探し、辿り着いた店で女性警官シビルと出会う。ハリーは娘が行方不明になったことを伝え、自身の免許証とシェリルの写真を見せる。しかしシビルは、シェリルが先に家に帰ったのではと推測する。するとハリーの携帯に自宅から電話がかかってくるが、すぐに切れてしまった。
シビルの無線に応援要請の通信が入り、シビルは手が空いたらあなたの家に向かうと言って去っていく。
自宅へ向かうハリーは、ブランコに乗った少女の影を見つける。その影を携帯電話で撮影、その姿はシェリルにそっくりだ。
歩き出したハリーの携帯にシェリルから電話がかかってくるが、シェリルは「戦うのは無理よ、逃げて」と叫んでいる。電話が切れると辺り一面が凍結した氷の世界となり、クリーチャーが襲い掛かってくる。クリーチャーから逃げ切ったハリーは氷の世界から抜け出すことができた。
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ドクターによるカウンセリング。自動車事故についての話をしていたようだ。そして、話題は家族の話へ移る。いくつかの質問をされたあと、「幸せな家族」と題された塗り絵に色を付けていく。
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自宅に着いたハリーだが、玄関を開けると見知らぬ夫婦が出てくる。ハリーは私の家だと主張するが、もう14年近くこの家に住んでいると言う夫婦。なおも自分の家だと主張するハリーに困惑した夫婦は扉を閉め、ハリーを追い出すのだった。
途方に暮れているハリーの前に現れたパトカーから、シビルが降りてくる。
ハリーの免許証の住所はここで間違いはないが、状況を整理するため2人は警察署へ向かうこととなる。
シビルは20年間警察に勤めており、町全体を熟知しているはずだがハリーを一度も見たことがないと言う。事故によりハリーの脳がダメージを受けている可能性もあるため、病院へ連れて行くことも考えているようだ。
雪が深まるばかりで危険だと判断したシビルはパトカーを降り、前方の様子を確かめに行く。ハリーはシビルが戻るのを待つが、戻ってくる気配がない。
ハリーはパトカーを降り、森の道なき道を進んでいくとシビルから電話がかかってくる。ハリーに戻るように言うシビルだが、ハリーはシェリルの捜索をやめない。
再び氷の世界へと変貌するが、クリーチャーの追跡を振り切って氷の世界を抜け出したハリーはミッドウィッチ高校に辿り着く。
シビルからの電話をとったハリーは、高校にいることを伝える。シビルは学校の体育館が避難用のシェルターになることもあるため、そこで待っているようハリーに言う。しかしハリーは、シェリルが居なければ待つつもりはないと言い、学校へ入っていく。
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ドクターのカウンセリングは高校生活の話題に移る。自分はどういう学生で、どんな授業を好んだのか。ドクターの質問に答える。
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同窓会の会場となっている体育館に辿り着いたハリー。そこにいたミッシェル・バルデス以外に参加者はいないようだ。
ミッシェルにシェリルの行方を尋ねると、ミッシェルは同姓同名の自分のひとつ上の先輩を知っていると言う。
ハリーが探しているのは7歳のシェリルである。関連性などないはずだが、校長室のパソコンからシェリル・メイソンを調べると「シェリル・ヘザー・メイソン」の情報が表示される。戸惑いながらもシェリルの住所と電話番号を入手したハリー。
免許証が古くなっていることや住所が違ったことから、自分は記憶を失っているのではないかと思い始めるハリー。
入手した番号に電話をかける。すると、シェリルと同居している様子のダリアと名乗る女性が応答した。ダリアはハリーの名前を聞くと「もうかけてこないで」と激昂し、電話を乱暴に切ってしまった。そして同時に、氷の世界へ変貌。
指定されたゴシップ写真を撮影することとなる。被写体は教師と性的関係を持ったシェリルだった。
氷の世界を脱出したハリーは、ミッシェルが勤めるバーから車でシェリルの住所まで送ってもらうことになる。
バーに到着、ハリーがトイレから戻るとミッシェルがいなくなった代わりにダリアと名乗る若い女性が待っていた。ダリアは困惑するハリーを車に乗せ、出発する。
ダリアはハリーと知り合って数年だと言うが、ハリーはダリアが誰なのかわからない。イラつき始めるダリアと同時に氷の世界へ変貌。渡っていた橋が崩れ、車は深い河へ水没してしまう。
「戦ってはいけない」という意味深なメッセージを横目に、ハリーは水没した車から脱出すると意識を失ってしまった。
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ドクターのカウンセリングは、死に関する話題となっている。眠っている人間と死んでいる人間の写真を分けるテストが行われる。
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目を覚ましたハリーはシビルが押す車椅子に乗せられていた。橋の事故を説明するハリーだが、橋は雪が降り始めてから閉鎖されており、ハリーは泳いだのだと言うシビル。そしてシビルは、ハリー・メイソンに関して調査した結果をハリーに告げようとする。しかし詳細が語られる前に世界は氷に閉ざされる。
氷の世界を脱出したハリーは、事故を起こし炎上している車と頭に怪我を負ったリサに遭遇。ハリーはリサを自宅に送り届け、頭痛がすると言うリサに薬を手渡す。
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ドクターのカウンセリングは罪悪感について、ドクターは患者に「罪悪感から逃れる一番の方法、それはまず捕まらないことだ」と言う。
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シェリルの捜索を再開しようとしたハリーだが、リサから体調の急変を告げる連絡が入る。リサの自宅へ引き返したハリーだが、リサは頭から血を流して既に絶命していた。そこへ駆け付けたシビルが、ハリーがリサを手にかけたと思い込む。弁明するハリーに、「次から次へと嘘ばかり並べて、あなたはハリー・メイソンではない」と言い放つシビル。直後、氷の世界へ変貌。
凍てつくショッピングモールを彷徨い、ハリーは万引き常習犯によって警備員が刺され負傷した事件を知る。警備員は万引き犯の少女を心配しており、厚生させようとしていたようだ。
氷の世界を脱出したハリーは、ようやく高校で入手した住所に到着する。しかしそこにいたのはシェリルではなく、老け込んだダリアだった。ダリアはシェリルが灯台にいることをハリーに伝え、さらにダリアがハリーとは運命でつながれていると言う。「お前が私の妻?」とハリーが言うと、氷の世界へ変貌する。
終わりが見えない迷宮を抜けたハリーは、シェリルの部屋に辿り着く。「でもお前はいない」とつぶやき、気を失ってしまう。
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ドクターのカウンセリングは結婚に関する話題になっている。患者の結婚観について質問するドクター。
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ハリーが目を覚ますと、ミッシェルとその恋人ジョンの車で灯台へ向かう。しかし車内でミッシェルとジョンの口論が始まり、その末に2人は車を飛び出してしまった。ハリーも車を降り、下水道を抜けて灯台を目指す。
湖畔のバーに辿り着いたハリーはミッシェルと再会。ジョンとの関係は破綻してしまったようだ。
灯台に行くためにはボートで湖を渡らなければならず、遊園地の裏手にある船着き場へ行くよう促すミッシェル。
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ドクターのカウンセリングは大詰め。話題は性に関するものとなり、ドクターは患者が性に関してかなり極端な傾向を持っていると言う。
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船着き場を目指し、遊園地を通過するハリー。そこでハリーは、すれ違いを繰り返していた夫婦が仲の修復を試みるものの、子どもが起こしたトラブルにより夫婦仲は再度険悪になってしまう様子を目撃する。
船着き場に辿り着いたハリーは停泊していたボートに乗り込むと、船室には若い姿のダリア。誘われるままに欲望に身を任せるハリー。
氷の世界で目を覚ましたハリーはボートを降り、灯台に向かって走り出す。
シビルから「これがあなたの7歳の娘?」というメッセージと大人であるシェリルの写真が送られてくる。
やがて群がるクリーチャー追い詰められるハリー。しかし、なぜかクリーチャー達の体は凍り付き、湖の氷は割れる。湖に落ちたハリーは灯台に向かって泳ぎ続けるが、陸を目前に体力が限界を迎える。そこに現れたシビルがハリーを救助。
シビルは、調査の結果突き止めた真実「ハリー・メイソンは自動車事故により18年前にこの世を去っている」ことをハリーに告げ、答えはきっとあそこにあると、灯台へ向かうよう促す。
入り口の横には「マイケル・カウフマンの診療所」と書かれた看板。その扉を開き、廊下を進んでいくハリー。
ドクターが感情的に患者に叫ぶ。
「これでは埒が明かない」
「18年も拒否し続けている」
「全ては君の小さな脳みその中の世界なんだ」
「君は繰り返し再生されるホームビデオを見続けて、現実から逃げ続けている」
いつからか両親はすれ違い始めた。少女は、両親の不和の原因は自分にあると自身を責めるようになる。そんな中、父は自動車事故でこの世を去った。少女は父の死を受け入れられず、本当の両親の姿なんて知らないのに過去の父の姿すら拒絶した。やがて少女は理想の父親を作り出す。そうして少女はありもしない幸せな日々を、存在しない空想の父と過ごすようになったのだった。
「君が考える父親は幽霊ですらない。最初から存在していない。それでも君は母親とともに生きている。そして君が生きるのは、他の誰の人生でもない、自分の人生を生きるんだよ」と、ドクターは言う。
扉を開き、部屋へ入ったハリーは「シェリル」とつぶやく。
カウンセリングを受けていた患者、シェリル・ヘザー・メイソンは現実と対峙する。これまでともにあった空想の父親と対面。
※
「ずっと一緒にいてくれたわ」と言うシェリルに「これからも一緒だ」と答えるハリー。しかしシェリルは黙って首を振る。ハリーは凍り付き、消えていった。
※
ハリーは「もういいんだ」と言い、消えていく。
※
シェリルは空想を断ち切ることができず、父ハリーと抱き合う。
そして、シェリルが繰り返し見ていた「幸せだった瞬間」のホームビデオの続きが再生される。
「離婚」
本編で特別目立った傾向のない選択をした場合。
家族生活は終わりを告げた。家を出ていくハリーはシェリルに「お前は悪くない」と言い残し、去っていった。
「喧嘩」
禁欲的な行動や回答を繰り返した場合。
シェリルは両親の喧嘩を目撃する。
収入が低いことをなじられ、ダリアに殴られるハリー。
どんなに口汚く罵られても、ハリーには反論する言葉もない。
「酒乱」
お酒を好む行動に終始した場合。
すっかり泥酔して帰宅するハリー。呂律の回らない口でシェリルに酒を持ってくるように命じる。その姿には父としての威厳など皆無である。
「不倫」
性的なものに関心を示す、性に奔放な回答をする。
家庭を省みる様子など一切見せず、部屋にカメラをセット。ミッシェル、リサと絡み合うハリー。
「UFO」
父親は宇宙人に攫われたと主張するシェリルに、ドクターは呆れ果てる。まだカルト集団や悪魔の話の方が筋が通っていた。
シェリルは町全体が巨大な宇宙船だと言い出す。すると、夫婦でドクターの治療を受けているジェイムスが診察室に現れる。しかしドクターは最近奥さんを見かけていないようだ。
ジェイムスを追い出し、カウンセリングは続く。
私の母親は雌犬(ビッチ)だと言うシェリルはいつの間にか柴犬に、ドクターは宇宙人になっているのだった。
キャラクター
ハリー・メイソン
サイレントヒル在住の作家。自動車事故を起こした際、いなくなってしまった娘シェリルを探すために町を奔走。
ハリーは18年前の自動車事故により既に他界していたことを知る。ハリーはシェリルが想像した理想の父親が具現化された存在であり、実在しないのである。
シェリルが現実を受け止めた時に消滅するか、シェリルに自分を忘れるように言って自ら消滅するか、シェリルが現実を受け止められずにシェリルの意識に残留し続けるかになる。
シェリル・ヘザー・メイソン
ハリーの実娘。豊富な想像力と行動力を持っている。
幼少期の両親の不和の原因が自分であると思い込み、自分を責める。父の死も、父の姿も拒絶したシェリルは想像上の父親を作り上げる。この想像上の父親を本物だと思うほどに精神を病んでいたのだった。
シビル・ベネット
サイレントヒルの警官。
サイレントヒルの町を熟知しているシビルだが、ハリーには会ったことがなかった。独自に調べた結果、ハリーが既に他界していることを知る。
ダリア
ハリーの前に現れる女性。ハリーやシェリルのことを知っているそぶりを見せる。
その正体は、ハリーの妻でシェリルの母だった。
ドクターK
精神分析医。
新しい患者、シェリルを迎えたドクターはカウンセリングを開始する。
ミッシェル・バルデス
ハリーがミッドウィッチ高校で出会った女性。
シェリルの顔を知っていると言うミッシェルは、ハリーに協力する。