IT(イット)”それ”が視えたら、終わり。chapter2/ネタバレ注意!原作の描写を差し込みながらストーリーを結末まで紹介

映画

chapter1の続編、chapter2のストーリーを原作での描写も差し込みながら結末まで紹介します。壮大にネタバレしますので、ご注意ください。

chapter1のネタバレストーリーはこちら

ネタバレをしていないあらすじと感想はこちら

映画版子ども時代は1989年。27年後/2016年

原作子ども時代は1958年。27年後/1985年

ピエロの姿をした”ペニーワイズ”が印象的な”IT”ですが、その正体は異次元からやってきた人々がもっとも怖いと思うものに姿を変え、現実の社会問題や人間の根源的な恐怖を反映する”恐怖”そのものです。

メイン州「デリー」の下水道に住む「IT」ですが、街が出来上がる前の太古の昔から地中海深くに住み着いていたのです。そして27年周期で街に現れては数多くの事件を起こし治安や人心を荒廃させてきた。しかし大人には見えず、痕跡も認識できないため事故や災害で処理されてしまうのである。

しかし若者や大人も「IT」の被害者となっている事例もある。

子どもへの被害が多いのは、想像力が豊かであるため「純粋な恐怖心」を操作しやすいから。恐怖を糧にする生命体であり、対象が最も怖がるものに姿を変えて恐怖心を煽ります。

物語の序盤で、ジョージがビルに言われて地下室に行くシーンがあります。暗くてじめじめした怖いその場所で、原作だとジョージは未知なる化物を想像する描写があります。

”全身が毛だらけでカギ爪で引き裂いてくる”、そんな化物。

この想像した時の”恐怖心”こそが「IT」であり、「IT」に対抗する手段は”信じる力”と”恐怖を克服”すること。

1989年9月

”IT”を撃退したルーザーズ・クラブ。べバリーがデッドライトを見た時に、未来の自分達を見たことを話す。

スタンが自分はどんなだったかを尋ねる。べバリーが見た未来では、スタンは死んでしまう。べバリーはそれを胸の内にしまい、背が伸びてたと答える。

2016年

運河フェスティバルが開催されているデリー。

エイドリアン・メロンとドン・ハガーテの同性カップルにチンピラが絡んでくる。チンピラはエイドリアンを運河へ放り投げ、逃げ出す。
 原作だとチンピラは警察にピエロの目撃談を信じてもらえず、エイドリアン殺害容疑で裁かれる。

エイドリアンを救い上げた”IT”が、河へ落ちたエイドリアンを助けに来たドンが見ている前でエイドリアンを殺す。ドンの絶叫と、運河を埋め尽くす赤い風船。

COME HOME

デリー図書館に暮らすマイクが警察無線を傍受。向かった事件現場には「COME HOME COME HOME COME HOME(帰ってこい)」と”IT”からのメッセージ。
 原作では事件現場にメッセージはない。ジェリー・ベルウッドが殺された現場写真にこのメッセージが登場。みんなに再会した時にマイクが写真を見せる。

電話

作家になったビル。妻は女優であるオードラ。

リスク分析の職についているエディの妻マイラは、母ソニアと同じようにエディを縛り付け、なにかと口を出してくる。
 原作ではリムジン会社を経営。

コメディアンとなったリッチー。舞台に立った彼はオチを忘れてブーイングを浴びる。
 原作ではラジオのDJになっている。

有名な建築家になったベンは、スレンダーになっている。
 原作ではフットボールのコーチに侮辱されたことからダイエットを始めたことが説明されている。

スタンは妻パトリシアと暮らす。
 原作にはアトランタに住んでおり、会計士として成功した説明がある。

デザイナーとして成功したべバリーだが、父のように暴力で服従させようとする男トム・ローガンと結婚した。マイクからの電話を受け、結婚指輪を玄関に置いて家を出る。
 映画だとトムの出番はここまでだが、原作では執念深くデリーまでべバリーを追いかけてくる。そして、デッドライトを見て死亡。

5人はマイクからの電話受けてデリーへ向かうが、スタンは思い悩む。「誓うよ、ビル」とつぶやき、バスタブで自らの命を絶ってしまった。

精神病院

chapter1の終盤でマイクに地下へ放り投げられたヘンリーは地上へ流れ着き、家へ帰るが待機していた警官に父親殺害の罪で精神病院へ送られる。
 原作では父だけでなく、パトリックやその他の子ども達を殺害した嫌疑もかけられる。

ジャニパー・ヒルの精神病院に27年間収容されているヘンリー。窓の外にITが戻ったことを知らせる赤い風船を見つけ、喜びをおさえられず興奮状態になり部屋へ戻される。ベッドの下の赤い風船が割れるとパトリックが出現、父を刺したあのナイフをヘンリーに手渡す。

看守を殺し、ヘンリーは病院を脱走する。

再会

ルーザーズ・クラブはデリーの中華レストラン「JADE OF THE ORIENT」に集まる。しかしスタンは不在である。

マイクからの電話を受けた時、当時の記憶やルーザーズ・クラブのことをほぼ覚えていなかった5人。それは”IT”の作用によるもので、デリーから離れるほど記憶が薄れるのだとマイクは言う。

デザートのフォーチュン・クッキーの中に入っていた「Could」「Guess」「It」「Cut」「Not」「Stanley」と書かれたメッセージ。「Guess Stanley Could Not Cut It(スタンリーは約束を果たしきれなかった)」

さらにフォーチュン・クッキーから出てくるコオロギ、這う目玉、コウモリの羽根、鳥の胎児。熱帯魚が泳いでいた水槽に生首が泳いでいる。
 映画だと関連性がよくわからないが、原作ではべバリーにはバスルームから噴き出した「血」、エディには地下室に大量発生して悩まされている「コオロギ」、ビルには虫が登場する新しい小説の構想を練っているため「蠅」、リッチーには子どもの時にITの巣窟で見た「這いずる目玉」と、理由が付いているものが出てくる。

べバリーがスタンに電話すると、妻パトリシアからスタンが自殺したことを聞かされる。しかしべバリーは、スタンがバスタブで死んだことをパトリシアが言うより前に知っていた。

ビクトリア

試合が行われている野球場。顔に赤い痣があるビクトリアは蛍を追いかけ、観覧席の下に入り込むと”IT”に遭遇。

最初こそ警戒をしていたものの、「こんな見た目だから、一緒に遊んでくれる友達がいない」と言う”IT”に、痣のせいで友達がいないビクトリアは共感してしまう。警戒心を解いてしまったビクトリアは”IT”に殺されてしまった。

べバリーが見たもの

宿「タウンハウス」へ戻ったリッチー、エディ、ベン、べバリー。
スタンの妻が「バスタブで」と言う前にべバリーが「バスタブ」と言ったことに気付いていたベンは、なぜスタンがバスタブで死んだことを知っているのかを問い詰める。

べバリーは「自分達、全員が死ぬのを見た」という。

チュードの儀式

マイクとともにマイクが住む図書館へ来たビル。

鍵は「記憶」だと言うマイク。

現在までデリーに1人残ったマイクは、デリーの歴史と”IT”の倒し方を調べ続けてきた。

ビルはマイクから”IT”を倒す方法を聞く。

「チュードの儀式」である。

マイクはデリーの先住民族”シャカピワー族”の住む地を訪れ、「煙の儀式」に参加。”IT”が宇宙からやってきた存在だということを知る。
 原作だとまだ子どもだったルーザーズ・クラブが、インディアンが占いのために行っていた「煙穴の儀式」を行う。掘った穴の中に入り、木の枝で蓋をする。この穴の中で焚火をし、煙を吸って幻覚を見ると進むべき道がわかるというものである。
あまりの煙たさにみんなが穴から逃げ出す中、リッチーとマイクが最後まで残る。すると燃える宇宙船がデリーに落下した幻覚を見る。”IT”が何世紀も前からデリーに住んでいることを知った。

シャカピワー族は壺の周りを手を繋いで囲んで呪文を唱え、ITの本体である「デッドライト」をピラミッド型の壺に封じる「チュードの儀式」を行い対抗した。
 原作の「チュードの儀式」は、人間とタエラス(見る者が恐れるものの形をとるもの)が互いの舌を重ね合わせ、そのまま舌を噛んで目と目を合わせる。ジョークを言い合って笑った方が負けとなり、人間が負ければタエラスに食べられ、タエラスが負ければ100年間封印されるというもの。
ビルがこの儀式で”IT”と戦うことになり、精神的な世界で宇宙へ放り投げられるという観念的な戦いである。

その儀式に使われた壺をマイクは所有しており、これで”IT”を倒せると言う。

べバリーが見る悪夢

「全員が死ぬ」とはどういうことなのかを話し合っている4人のもとに、ビルとマイクが合流する。

ルーザーズ・クラブのメンバーで唯一「デッドライト」を見たべバリー。

”IT”と接触したことにより、デッドライトを見ていない5人の体の中もウイルスに感染したように侵され変化したというマイク。

べバリーの夢は正夢であり、今”IT”を倒さなければ全員死んでしまうと言うマイクは、ルーザーズ・クラブのメンバーに「チュードの儀式」で”IT”を倒せることを説明、そのためにはみんなの失った記憶を取り戻す必要があると言う。

儀式を行うために

子どもの頃、荒れ地にベンが1人で作り上げたルーザーズ・クラブの”クラブハウス”を目指す6人。
 原作のクラブハウスは映画ほど快適なものではなく、1週間ほどかけて7人で作り上げた。四角く穴を掘ってその上を板で蓋をする単純な設計。ヘンリーをやり過ごしたり、煙穴の儀式を行ったりしていた。

ここでマイクはみんなに、それぞれ街に戻って忘れている過去を思い出してくることと、チュードの儀式に使う思い出の品を見つけて図書館に集まるように伝える。

べバリー

27年前にポートランドの叔母に引き取られたべバリーは、父の生死がどうなったのかを知らない。

かつて住んでいたアパート尋ねたべバリーは、現在住んでいるカーシュ婦人から父が死んだことを聞く。

部屋にべバリーを招き入れるカーシュ。カーシュがお茶を準備している間、べバリーは子どもの頃に隠した鍵、タバコ、ポストカードを取り出す。

べバリーが部屋にある写真を見ていると”IT”に襲われ、アパートを逃げだす。振り返るとアパートは廃墟になっていた。

リッチー

閉店したゲームセンターでゲーム用のコインを手に入れたリッチー。

過去にこのゲームセンターでヘンリーに”おかま”と言われ、逃げ出した先のバッシー公園でポール・バニヤンの像に襲われたのだ。ベンチを破壊し、迫ってくるポール・バニヤンの像。「こんなのは嘘だ」と唱えるとポール・バニヤンの像もベンチも元通りになっていた。

公園では運河フェスティバルのフィナーレを知らせるビラが配られている。リッチーがエイドリアン・メロンから受け取ったビラには「追悼リッチー・トージア」。

ポール・バニヤンの肩の上にいる”IT”が「戻ってピエロと遊んでよ」と言いながらリッチーに迫る。リッチーは公園から逃げ出した。

ビル

子どもの頃に乗り回していた自転車”シルヴァー”を購入。

ジョージが引きずり込まれていった雨水菅を覗き込むビル。奥に見えるジョージに手を伸ばすが、ジョージが”IT”へと姿を変えビルを襲う。逃れたビルは紙の舟を持っていた。

ビルを見ているスケートボードを持った少年が「お風呂場から声がする」と言う。ビルは街から出るよう伝えたいが上手く伝わらず、少年は運河フェスティバルの会場へと去って行く。

ビルはジョージを守ってやれなかった後悔を少年に重ねていた。

ベン

ベンは子どもの頃に通っていた学校を訪れ、過去の思い出と”IT”に遭遇。
 原作では図書館を訪れたベンが”IT”と遭遇。
27年ぶりに借りた本は、ヘンリーから逃げだし荒れ地に辿り着いた日と同じ本だった。

忘れたくない記憶

タウンハウスへ戻ったベンはべバリーに会う。”IT”を倒した後に、また全てを忘れてしまう不安を吐露するベン。

べバリーはベンが創作した詩が書かれたポストカードを開く。ここにいると当時のことを思い出してくると言うべバリーだが、全てを思い出せていないため詩を書いたのがビルだと思っている。

エディ

キーン薬局を訪れたエディは、子どもの頃に遭遇した感染症で全身がボロボロの浮浪者に襲われる。
 原作ではトラッカー・ブラザーズのトラック売り場で、死者達が野球をしているのを見る。

ヘンリー

全員タウンハウスへ帰ってくると、階段から”IT”からのメッセージが書かれたスケートボードが落ちてくる。

ビルは挑発を受け、運河フェスティバルの会場へ向かう。

病院から脱走してきたヘンリーがタウンハウスへ乗り込み、エディの頬をナイフで切りつける。部屋から出てきたエディにベンとべバリーが駆け付けるとヘンリーは逃げて行った。

ミラーハウス

ビルはミラーハウスに入っていく少年の後を追う。中で少年を見つけるが、ガラスに阻まれ少年に近づくことができない。そこに”IT”が現れ、少年を殺してしまう。

ヘンリー死亡

図書館でみんなを待つマイクがヘンリーに襲われるが、ちょうど図書館に来たリッチーがヘンリーを殺す。
 原作だと図書館へ行ったヘンリーがマイクに重症を負わせ、マイクは病院に搬送される。そのため5人で”IT”に挑むことになる。
マイクに重傷を負わせた後、タウンハウスへ向かいエディを襲うが、返り討ちにあってヘンリーは死亡する。

儀式失敗

目の前で少年を殺されたビルは、ニーボルト・ストリートの廃墟へ向かう。そこにかけつけた5人。

廃墟へ乗り込んだ6人は”IT”からの様々な攻撃を受けながらも、子どもの頃に”IT”と対峙した巣窟へと辿り着く。

更に洞窟を奥へと進み、”IT”の本体を発見する。

ピラミッド型の壺を置き、みんなで壺を取り囲む。それぞれの思い出の品を壺に入れ、燃やす。呪文を唱えるとデッドライトが壺に吸い込まれていき、マイクが蓋を閉める。儀式は成功したかに思われたが、赤い風船が膨らみ、破裂。巨大な”IT”が現れる。

決着

”IT”の襲撃により分断され、各々が”IT”による攻撃を食らい、その中でべバリーは詩を書いたのがベンであることを思い出す。

リッチーがデッドライトを見せられてしまう。エディがリッチーを救い出すが、”IT”の脚がエディの胸を貫通。
 原作でもエディはビルとリッチーを助けるためにITに吸入器の偽薬を浴びせるが、腕を食いちぎられ、殺されてしまう。

「奴は縮んだ」と言うエディの言葉を受け、”IT”を狭い場所に誘導し小さくすることを思いつくが、先回りされてしまう。”IT”の力は信じる力で打ち破れる。”IT”を罵倒し、やがて小さくなった”IT”。

マイクが手を伸ばし、ペニーワイズの心臓を取り出す。それを全員で握りつぶす。
 ※原作ではITの体内に腕を突っ込んだビルが心臓を潰す。

脱出

”IT”が滅び、崩れ始める洞窟。死んでしまったエディはやむなく置いていくことになる。

地上へ脱出した5人。ニーボルト・ストリートの廃墟は大きな穴へと飲み込まれていった。
 原作ではデリーの街全体が崩壊する。

荒れ地に到着した5人、エディを失い泣き続けるリッチーに寄り添う。

荒れ地を出た5人は手のひらの傷が消えていることに気付く。

スタンからの手紙

ビルとマイクが電話をしている。

今回はなぜ記憶が消えないのかを話し合う。”IT”が死んだことによるものか、忘れたくない気持ちが勝ったからだと言うマイク。

スタンの妻パトリシアを介し、スタンが自殺する直前に書いた手紙がルーザーズ・クラブのメンバーに届いていた。

スタンは自分が臆病であることがみんなの足を引っ張ることになると思い、自分を消すことで勝機を見出すことにしたのである。

「自分らしく生きろ。誇りを持て」

キスの橋に「R+E」と彫るリッチー。

「大切な人を見つけたら、決してその手を離すな」

ベンはべバリーと一緒になる。

「どこへ行っても自分の道を進め」

マイクは図書館を出て旅に出る。

「僕らはルーザーズだ。永遠に。」

映画だと、大人になった5人がITを倒したあとも記憶は消えませんでした。しかし、原作では再び記憶が消えていきます。27年間デリーにとどまったマイクも、ITが完全に消えてからは徐々に記憶が消えていく描写があります。

そして結末。スタンの手紙で締めくくられた映画ですが、原作はデッドライトを見て抜け殻のようになってしまったビルの妻オードラをビルが自転車に乗せて疾走。そして戻って来たオードラと2人の描写で締めくくられます。

chapter1同様に省いた部分もありますが、ざっくりとこのような感じでストーリーが展開されていきます。

原作は文庫が4巻分、子どもと大人を行ったり来たりです。映画では省かれた描写や改変された部分、そもそも映像化できない描写が原作にはあります。

それでも映画はなかなか忠実に作られているのではないかと。

文章と映画で2度楽しい作品です。

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